2011.11.24 Thursday
ブータン国王夫妻が残してくれたもの
こんにちは。 先日まで、ブータン国王、王妃が来日されていましたが、
私の中で、にわかにブータンブームが起こっています(笑)
以前からブータンは気になっていましたが、 国王が国会で演説されている姿などをテレビで拝見しますと、
国王としての気品、尊厳を持ちながらも、素朴さ、真心があり、礼儀正しく、
何か優しさ、慈愛を醸し出され、その姿に心打たれるものがありました。
国王は日本とブータンとの繋がりを感じておられ、
日本に対して親近感をお持ちとのお話でしたが、 こちらから見ていても、とても日本的な雰囲気を感じました。 国王夫妻の姿からは、なんともいえない幸せ感が漂い、
平和な空気があります。 国王の心の中にある人間一人ひとりに対する深い尊敬と慈愛の念、
そして、人間を信じる揺るぎのない信念がその雰囲気を
醸し出しているのでしょう。
ブータンは、チベット仏教を国教としていますが、、 その仏教精神がしっかり国民の生活に根付いているという事実に 驚いています。 お互いを助け合い、困った人を助けるという
相互扶助の精神が当たり前で、 無駄な殺生をせず、生きとし生けるものすべてを 大切にする精神が徹底しているそうです。
テレビで紹介されていたこんな話がありました。
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男女のカップルがデートで、喫茶店のテーブルに座っていると
熱いお茶が出されたとします。
しばらくして、ハエが飛んできて彼女のお茶の中にハエが
入ってしまったとします。
日本であれば、男性が彼女に気遣って、
「ハエが入っちゃったね!新しいお茶に替えてもらおうか?」
とでも言うところを、 ブータンでは「ハエは大丈夫かな?」と ハエのこおを気遣い、
女性も「あらかわいそう、早く助けてあげなくちゃ」 と言うそうです。
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この深い愛に感動してしまいます。
仏教国と言われる日本ですが、その精神の違いに驚きました。
国民1人1人にこの精神が浸透しているそうで、
どんなに貧しくても、国民のほとんどが幸せを感じる国だと いうのも納得です。
ブータン国民の約97%が幸せを感じているという 調査結果があるそうです。 これは驚異的な数字で、同じ調査をもし日本で行ったら、 一体どんな数字が出るのでしょうか? グローバル化した世界では、「国内総生産(GDP)」など
経済活動の大きさだけで国の大きさを計ったりしますが、
ブータンでは、国王によって「国民総幸福量」という概念が導入され、 国民一人一人がどれだけ幸福感を感じるかという指標に基づいて
政策を行っているそうです。 お金ではなく、心の幸せ感、充実度が行動の指針となる・・・
なんだそうです。 そんな話を聞くと、ブータンという国のファンになってしまいました。
文化人類学者、環境運動家の辻信一さんが「国民総幸福量」について
書かれています。
今、世界は個人のレベルから企業、国のレベルまで、
経済発展を第一に動いています。
そのために消費欲を喚起し、商品を買ってもらえるように
付加価値を高める努力をされています。
その根底にあるのは、お金がないと生きていけない、
豊かな生活ができないという考えがあるからでしょう。 確かに最低限のお金は必要です。
でも、お金があって、豊かになれば幸せか?
というと、そこには疑問符が付きます。
「経済的豊かさと幸福感はイコールではない」
このことは冷静に考えてみれば明らかなことなのですが、
いざ、現実に紛れ、様々な比較する対象があり、刺激があると
「経済的な豊かさがあった方が幸せではないか?」 「もっと物が欲しい!」 という欲がムクムクと湧き上がってきます。 そして欲が欲を生み出すサイクルが永遠と回り続けます。
しかし、そこからは心からの幸せは生まれず、感謝することなく、
ただ消費し、垂れ流すだけ・・・
私達は、今目の前にある幸せを見い出す力が必要です。
ブータンの人は、何もなくても今が幸せなんだと思います。
でも、今の日本人はあまりにも比較する対象があり、刺激があるので、
それだけでは満足できません。
ブータンは、ある意味で欧米文化を遮断し、
鎖国のような状態を創り出すことで、 幸せな理想郷を保っている部分があります。 それは人間の本性として、欲に負けてしまうことを
知っているからでしょう。
しかし、ブータンのやり方は、経済的発展を否定している
のではなく、物質的豊かさだけに軸足を置かないようにしている ということでしょう。 人間にとって創造的に、クリエイティブに新しいことを発明し、 発見することは楽しみであり、喜びです。 しかし、その純粋な喜びから離れ、ただ経済発展だけを盲目的に追求する
ようになると、人間の心を荒廃させ、地球を破壊していきます。 人間の創造的活動と幸福感を常に繋げていくには、
もっと心のレベルから 「人間の創造的活動とは何か?」 ということを見直す必要があります。 それは、すべての創造的活動を「愛」に基づいたものに変えていく
ということです。 「愛」に基づいた創造的活動をしている時、 ・自然に思いやりの精神が生まれます ・自分自身にも誇りと尊厳を持ちます ・無責任ではなく、人間として活動していく上での高度な倫理観を 意識的に持ちます それらの土台となるのが、自分自身を愛することです。 自分が心から愛していて、やりたいことがあるならば、自発的に創造活動を行っていく・・・ これは人間の内面を進化させるということです。 グローバル化する世界おいて、あらゆる分野で
ますます競争が増していきますが、何のために競争しているのかを
しっかり認識していないと、競争が目的にすり替わってしまいます。
競争が激しさを増すと、相手に勝とうとするあまり、 弱肉強食の意識が当たり前となり、格差が広がり、 人を人として扱わないような殺伐とした社会になる 可能性があります。 現に日本社会は昔の良さが失われ、殺伐とした社会になりつつあります。 韓国や中国でも同様の動きが広がっています。 競争も自分達がより良い暮らしをするため、幸福になるためである
ということを忘れないようにしなければならないと思います。
TPPの問題なども、明治以来の開国を日本が迫られていると言われます。
TPPに参加することによって、日本の良さ、素晴らしさをもっと世界に発信していく
機会にしていくことはとても良いことだと思います。
ただ、競争が増し、皆が幸福を感じられなくなるのならば、
何のために競争をするのかを今一度考え直す必要があるのでは
ないでしょうか?
そんなに競争をしなくても幸福に生きていけるのではないか・・・
何を優先して行くのか?
TPPの問題は、遅かれ早かれ、そんな壁にぶち当たることになると思います。
ブータンは地球の最後の砦として、幸福の原点を教えてくれている のだと思います。 ここまでブータンを理想郷のように扱ってきましたが、
もちろんブータン国内にも様々な問題があり、 ブータンだけを理想郷のように語るつもりはありません。
ただ、少なくとも私達が学ぶことはたくさんあると思います。 日本では大震災を経験しましたが、これから私達一人ひとりが何に価値を
置いていくかが問われていると思います。
福島県相馬市の小学校を訪問された国王が震災で被災した子供たちに
話した言葉の中に「龍」の話がありました。
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私たちは「人格」という名の龍を持っています。 龍は私たち皆の心の中にいて、「経験」を食べて成長します。 だから、私たちは日増しに強くなるのです。 そして、感情をコントロールして生きていくことが大切です。 どうか自分の龍を大きく素晴らしく育てていってください。 *********
とても素敵な言葉だと思いました。
そんなブータン国王が日本に対して、敬意と親近感を持ってくださっている
ことが嬉しく思いました。
国王が来日してくださったお蔭で、日本人の心の中の何か大切なものを
呼び覚ましてくださったのではないでしょうか?
本当にありがとうございました。
それと同時に、国王夫妻についてたくさんの報道がなされ、また日本人に 多くの反響があるのを見るにつけ、真心は人の心を動かすということを 改めて教えてもらいました。 イルカ的な生き方をする人「dolphinist」は、
限りなくブータンの人々の精神と近いと思います。 多くの方に「dolphinist」に共感していただけたらと思っています。 私も一度ブータンに足を運びたいです。
Dolphinist Academy 小田原篤弘-------------------------------------------------------------- ブログ・ランキング始めました。 このブログを読まれた方は、以下のボタンのクリックをお願いいたします。 |